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ウェブは日の当たらない人たちが面白い

過去を語ることは最高にダサいことだが、あえて語らせてもらうと15年ほど前、ウェブはある種のアンダーグラウンド感があった。

ブログというものが存在せずhtmlの知識がある人だけが自分のサイトをもち発信していた時代である。

当時の私は一切のウェブの知識がなかったものの、怖いもの見たさにADSL回線を契約し姉のパソコンをこっそり使って色々なサイトを覗いた。

永遠に目的にたどり着けないエロサイトリンク集や素人による短辺小説、エッセイ、詐欺業者に突撃してその一部始終を面白おかしく掲載しているサイトなど現在のコンテンツと比べると圧倒的に稚拙でありながらも、その情報にワクワクどきどきしていた。

現在におけるウェブ

そんな私からすれば今のウェブは一切のアングラ感もなく、有益な情報がわかりやすく整理されていて素晴らしい成長を遂げたものだと関心している。もちろん玉石混交ではあるものの当時から比べれば圧倒的に信頼できる情報だ。

またGoogleのアルゴリズムのアップデートにより、検索意図にそった検索結果を表示される精度があがっている。

それに加えてSNSの登場で知識のある一部の人だけが発信していた時代は終わり、知識がなくても自由に発信できるようになったことにより、ウェブ上と現実の垣根はだいぶ曖昧となった。

優秀でコミュニケーション能力がある人がウェブ上においても席巻し、いわゆる「リアルでは駄目だけど、ウェブではすごい」という人間はほぼ淘汰された。

アングラ時代の生き残り

しかし、こんな時代においても15年前と変わらずにウェブに救いを求め、情報を発信し続けている人たちがいる。

そういった情報は大衆の求めるGoogleの検索意図にも沿わないため、検索上位表示はまず無理。そういった人たちが発信しているのは「自分の気持ち」。今風にいうとオピニオンである。

現在において、無名の個人のオピニオンほどウェブ上において価値の無いものはない。それを読んだ人が得をしないからだ。

しかし、タレントでもアイドルでも起業家でもない人の、更にいうと全然うまくいっていない人のオピニオンというものは貴重である。

需要がなくアクセスもなく、検索上位にもない、そして内容は無価値ではあるが、私には胸に響く。

それは恐らくその文章から発せられる「自分をわかってほしい」という強い気持ちが伝わってくるからだと思う。

11000字以上に及ぶオピニオン記事を読んだ

私は度々、変なワードで検索をする。完全なる趣味だ。そんなことをしていたらこんな記事を発見した。

3年続けた動画配信には意味があったのか

ちなみにブログタイトルは「俺の人生はもう長くない」であり、それに対する説明は「人生終わった老い先短い三十路過ぎた人間が、自分の生き様をブログに残していく日記。」である。

悲観的でありながらも生き様を見て欲しいという気持ちが伝わってきて興味がそそられる。読むのは大変だと思うので私の感想を加えつつざっくりまとめていきます。

該当の記事の冒頭はこんな文章から始まる。

2006年秋。

私のホームページの掲示板に書き込みがあった

時は約12年前まで遡る。間違いなくウェブサイトにアングラ感があった時代からの生き残りである。

内容はざっくりと以下のような感じだ。

  • かなり前からゲーム配信をしており、一時は生放送をすると100人リアルタイムで人が集まった
  • しかし、それは初見ではないのに初見と偽って配信したり、人を集めるために大げさな演技をしていて本当の自分ではない
  • 本当の自分では無いので配信に疲れ、配信を辞めた
  • でも配信していないと人とのつながりを感じられずまた始めた
  • 再開したものの人は集まらなくなっていた
  • そのうちに後から人気ゲーム実況者がたくさんでてきたが、自分は彼らを面白いと思っていない
  • 人気実況者達には本気さが感じられないからちゃんとやってほしい

なんとも言えないやりきれなさみたいなのはすごく伝わってくる。そして多くの人たちにとっては一笑に付すくらいの感想しか持たないでしょう。それでも私には胸にくるものがある。

彼は自身のゲーム配信をyoutubeにもしていて動画リストも公開しています。
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それで私、動画も見てみたんですよね。率直な感想は人気実況者の方がよっぽど本気で取り組んでるな、ということでした。

私の目から見ても圧倒的にクオリティが低いのがわかる。

  • サムネイルを工夫していない
  • チャンネルのメイン画像もつくっていない
  • 音声の品質が悪い
  • 動画中に効果音やテロップなどの挿入がない
  • 高い頻度で動画を投稿していない

これらに加えて鼻声かつ滑舌が悪いというのもある。

私もゲームの実況動画は好きでニコニコ全盛期からずっと人気実況者は見ていますが、過去の動画と比べるとクオリティはどんどん上がっていっていますし、ずっと変わらないクオリティの実況者は伸び悩んでいるように見える。

彼も昔からクオリティが変わらない伸び悩んでいる中の一人ではないのかなと。

私からすると発信しているだけですごいと思う。ただ、本人のいう本気の方向性が違っているだけで。

本気で自分のやりたい事を追求しているのか、本気で視聴者のことを考えて動画を改善していくのか、何をゴールとするかで行動は変わってくると思う。

今は自作ゲームのレビューをしているのでゲーム実況というよりは自作ゲームの紹介をしているっぽい。最後の投稿は4ヶ月前。まだまだ彼は諦めていない。

すごい。小学生みたいな締めになるけど、私もがんばろうと思った。

私が心を動かされるのは無価値の記事

もし、最初に彼の動画を見ていたら、私の中に何も残らず3秒後には忘れていたことだろう。しかし、この動画の背景にこういったストーリーがあることで動画の見方が変わる。

だから、私はインフルエンサーのためになる情報も大好きなんだけど、無名の個人のストーリーはもっと好き。

たくさんの人にエモい記事をガンガン書いて欲しい。そしてそれは必ず私が見つけ出す。