フィリピンというか東南アジアの人達は家族を大切にするといいます。それは果たして真実でしょうか。家族というコミニティで何が起こっているのでしょうか。
多くの人が1番最初に持つコミニティである家族。家族があなたを守ってくれたからあなたは生きています。生まれて放っておかれたらすぐ死んでしまう弱かったあなた。守ってくれた過去に対する家族への対価はなんですか。
富裕層と貧困層
子沢山な家族が多いフィリピンですが、それはほとんど貧困層に当てはまります。富裕層は大体1~3人程度で日本とあまり変わらない印象です。よく宗教により避妊をすることが禁止されているという事を聞きますが、それが全てではありません。なぜ貧困層の方が子供をたくさんつくるのでしょうか。
不条理なシステム
貧困層における子供は資産として扱われます。資産ですから多ければ多いほどいいですよね。だからたくさんつくります。しかし10人子供がいても全員が稼げるわけではありません。その中から1~2人ほど稼げる子供がいれば家族全員を養えます。それが貧困層における家族のシステムです。
私が関わったフィリピン人の中でも偽装結婚を家族から進められたという話は数多くあります。人身売買の売り手はその子の親がほとんどです。何もわからない10代の子が親に何かを言われたら従いますよね。売り手も買い手も今すぐ地獄へ落ちろ。
偽物の責任
運良く家族の中から稼ぎ頭が出た場合、家族は全力で稼ぎ頭のモチベーションを保つように努力します。稼ぎ頭がおみやげと共に実家に帰る事があれば、全力でもてなします。多くの料理を作り、酒を持ってきて、近所の人もよんでパーティーを始めます。稼ぎ頭の金で。
それでも稼ぎ頭は幸せな気分です。こんなにも家族が喜んでくれている。私のやっていることは間違っていない。私には家族の幸せを維持する責任があり、それは私にしかできないと思い込むのです。
当然、本来は家族の幸せを維持する責任は家族自身にあります。
家族へのサポート。家族からのサポート
稼ぎ頭は自分が稼いだお金のほとんどを家族へと送ります。家族はそのお金を期待して遊びのプランをたてます。家族の幸せは稼ぎ頭の幸せなので何も問題はありません。
しかし、ある日、稼ぎ頭が病気になり、お金がなくなってしまったため、家族へお金が送れない事がありました。そんな時に兄弟の子供が病気になったとのことで稼ぎ頭に無心を行ないましたが、当然お金はありません。無職の兄弟からは「子供がかわいそうだ。早くなんとかして金を送れ」と無茶を言われる事となります。
何かおかしいな、と思いつつも自分の持ち物を売り、なんとかお金を工面するのでした。
稼ぎ頭が恐れる事
家族が自分へ対して冷たくすることを恐れています。その様は家族愛を盾にされた奴隷のようです。無償であった家族愛は実は将来への投資であり、今は回収を迫られ理想と現実のギャップに稼ぎ頭は悩まされるのでしょう。
戦う稼ぎ頭と偽物の責任を全うしようとする稼ぎ頭
しかしながら全てが胸糞悪い話ではありません。私は何人もの戦う稼ぎ頭も見てきました。タイミングは稼ぎ頭自身の家族を持った後。自身の夫(妻)と子供を守るため、無心してくる親、兄弟と戦うのです。自分の苦しみを子供へと踏襲させてはならないと。まるで奴隷の鎖を自分の足ごと切り落とすが如く。
また、偽物の責任を全うしようとする稼ぎ頭はニュースで見ることができます。フィリピンでは度々年配の日本人が殺されています。その日本人の共通点は年が離れたフィリピン人妻を持つ日本人です。
問題は貧困か、人間か。
困窮しているからしょうがないのか、それとも貧困にも負けず違う道を探すべき事だったのか。私が彼らの立場に立つことは困難で、なんとも言えないのですが、貧困問題は貧しくとも健気に頑張る人だけでなく、クズでどうしようない人間の支援も必要です。正直、問題解決の困難さに私の思考は停止して、私自身の今晩のご飯に思いを巡らすにとどまるのであります。